『怖い絵』シリーズ

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中野京子『怖い絵』シリーズの感想。

1 『怖い絵』読了

怖い絵読み終わりました。
そこそこ面白かった。絵があって、その作品についてどんなことがあったかとか、画家のダイジェスト生涯があるのが良い。見たことある絵や画家がちらほらいた。

まず本をとった経緯としては、なんとなく表紙をみてパッと開いた時にベーコンのベラスケスの絵が出てきてインパクトに面を食らったから(割と単純な理由か?)。衝撃的過ぎて目に焼きついてしまったので、買おうかどうしようか迷っていたけれども買いました(笑)

他の絵でインパクトがあった絵は、アルテミジアとか、ルドンの『キュクロプス』とか……ゴヤ『我が子を喰らうサトゥルヌス』とかも結構強いけれども、ゴヤのは初見じゃなかったので、これがきたか……と思った。一番ぎょっとして初見だったのは、キュクロプスかもしれない。一つ目の巨人を見ると、ものすごい不安定な感覚に陥る。

好きなのを挙げるとすれば、ブリューゲル『絞首台の上のかささぎ』とか、クノップフ『見捨てられた街』など。
特にクノップフは読んでいて、クノップフのイメージ元『死都ブリュージュ』読みたくなった。今度どっかで探して読んでみます。

『怖い絵』シリーズはまだ後二冊あるようなので、また続巻も見つけたら読む予定です。

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2 『怖い絵 泣く女篇』読了

怖い絵2作目読み終わりました。
気になるものを感想、メモ。


この本を読むと、絵とその背景の歴史? とかが分かるのが面白い。
スペインのハプスブルク家の話とか。近親婚? によって血が濃くなっていくことの弊害と恐ろしさとかが印象的。

ドラローシュ『レディ・ジェーン・グレイの処刑』は、夏目漱石『倫敦塔』を読んで調べていた時に一度見た。ジェーングレイについてはもう少し自分で調べたいが、資料探すのが難しい。

エッシャーの描く世界は不思議。イメージ的にはメビウスの輪みたいな感じがする。ありえない空間なんだけれども、ありえるような気になってくる世界観。階段繋がりで紹介されていた佐藤春夫『化物屋敷』や、マーガニタ・ラスキ『塔』の小説も気になるので読んでみたい。

ブリューゲル『ベツレヘムの嬰児虐殺』はなんというか衝撃的だった。後年の画家の手によって、下は子供であった部分が物や動物などに修正されている。直されたことによって、画家の意図したことが完全に分からなくなってしまっていた。最初に修正後の絵が載っていたので、読み進めていくうちにだんだんと絵が改ざんされてしまったのではないかということに気がついていき、この絵の本当の姿を思い少し恐ろしくなった。

ピアズリーの『サロメ』が解説されており、その中で物語の『サロメ』の成り立ちが掻い摘んで書かれてあった。『サロメ』は読んだことがないので読みたい。

ブレイク『巨大なレッド・ドラゴンと日をまとう女』
かなり気になる絵。昔の絵という感じがあまりしない。レッド・ドラゴンの力強さが伝わってくる。

ハント『シャロットの乙女』
色彩がかなり好み。アーサー王伝説やテニスンの詩から。ここら辺も後々読む。

ベックリン『死の島』
何ともいえない寂しさのようなものをたたえている。絶妙なバランスの雰囲気。


とりあえずさらっと感想。あとで何か書き留め漏れがあればまた書きます。
それと、『怖い絵 死と乙女篇』も今読んでますので、読み終わったらまた感想書きます。

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3 『怖い絵 死と乙女篇』読了

怖い絵3冊目読破。
以下私的メモ。
今回は後半に出てくる絵画が色々インパクト強かった。

ボッティチェリとカバネルの『ヴィーナスの誕生』をそれぞれ解説しているのは面白かった。
ボッティチェリはよく見るあれ。
カバネルの方は多分見たことない?気がする。描き方割りと好き。著者の解説読んで気づいたけど、本当に水面が固そう。彫刻とか宝石的な美の描き方をしている気がする。

怖い絵を読んでから、スペイン・ハプスブルク・フェリペとなると、すごい陰鬱なイメージがよぎる。
一日王様についてはちょっと調べたいなあ。(豆の王様)
ミケランジェロ『聖家族』のパステルカラーの色の塗り方好きかもしれない。


セガンティーニ『悪しき母たち』のインパクトはすごかった。
静かだけれども怖い絵。特に後ろの方で亡霊となった母親たちが連なっているのが……。木になった母親が不気味な顔をした赤子に授乳する姿も恐ろしく見える。氷の世界をさまよう母親……。絶望的な世界観の表現力に圧倒される。ルイジ・イルリカの訳詩もいい。

伝レーニ『ベアトリーチェ・チェンチ』
ちょっと儚い感じがよい。かなり題材として使われているみたいだ。美少女に悲劇的な人生。今から処刑されることを受け入れ、悟ったような顔に見える。


ドラクロワ『怒れるメディア』
怖い。女の狂気の一瞬が閉じ込められているから。特にメディアの表情。母親の狂気に触れて、子供たちが泣きもがいているのも、恐ろしさに拍車をかける。題材の『メディア』の方も面白そう。


レッドグレイヴ『かわいそうな先生』
ガヴァネス問題は、前から知っていた。働かなければ生きていけない。けれども、世間の非難の目との板ばさみに遭うのは辛いだろう。いっそのこと、低い身分の生まれの方が生きやすかったかもしれないと、彼女たちは思ったのだろうか?


カストラート(去勢歌手)の話が衝撃的だった。中国の宦官は知っていたが、カストラートという職業があったとは。詳しく調べたい。


ゲインズバラ『アンドリューズ夫妻』は、最初に見たときには、綺麗な絵だなあと思ったけれども、解説を見ると、そうだったのかと納得させられた。広大な大地が夫妻の力の象徴。その割には、とても穏やかな絵のようにも見える。


ゴヤ『マドリッド、一八〇八年五月三日』
奥から手前へと時間が流れていくという描き方が新鮮だった。また、銃を向けられている側は個性的であるのに対し、銃を向けている側が無個性化している構図も面白い。

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